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第288話

「ありがとうございましたーっ」 すっかり出来上がった主役を抱えて店を出る。 割り勘とは言ったが、関川と出し合った。 これ位しか出来ないが労いの意もある。 「俺、同じ方向だから送ってくよ。 どうする?」 「酒飲んだし電車。 まだ終電あるだろ。 なきゃ駅前でタクシー拾う。」 じゃあ、と2人と別れ駅に向かう。 夜風が気持ち良い。 何処からか微か漂う梅のにおいに春を感じる。 空を見上げるとかじられた月が綺麗だ。

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