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第294話

「なぁ、これ終わるか?」 「ギリギリ? 数学の量半端ないからなぁ」 入試に伴う休日、山の様に出た課題を消化すべく田上が家に来ていた。 炬燵に潜り込みぬくぬくと課題を解いていると玄関が騒がしくなる。 ばたばたと元気な足音にドアを振り向くとマフラーに顔を埋めた優登が帰ってきた。 「兄ちゃんただいまっ! かっちゃんもただいまっっ!」 「おかえり。」 「おう。 優登おかえりっ。」 ランドセルを担いだまま優登は来客に顔を輝かせた。 「なんだまたおっきくなったのか。 兄弟して羨ましいなっ。」 「背伸びた! かっちゃんも伸びた?」 「三条程じゃないけどな。。 もう3cmでも伸びてくれると嬉しい。」 一通り田上に構ってもらうと優登も宿題に取り組みはじめる。 さっきまで賑やかだったリビングは静まり返った。 ぐぅぅっと、それを優登の腹の虫が打破するまでは。

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