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第300話

時間をかけて採点する。 ミスがないよう複数人で回し基準に照らし合わせ、均整に。 慎重に。 「長岡先生こっちお願いします。」 「はい。」 些細なミスすら許されない。 判らなければ聞く。 それでも判らなければ問い合わせる。 徹底してミスを防ぐ。 呼吸を忘れる程集中して採点を進める。 幾度目かのチャイムに今が昼食時だと気が付いた。 集中力が途切れると途端に身体中が軋む様に痛い。 大きな身体にこの机は小さい。 座りっぱなしで長い事同じ姿勢でいるのは歳を取る毎にきつくなっていくようだ。 身体を動かしたいと事務室に寄り、自分の連絡用レターケースを開けると異動に伴う飲み会の誘いや学級プリントが数枚入っていた。 卒業式に、入試、異動と兎角3月は忙しい。 適当に腹に詰め休憩を取り採点の続きを進めていく。 金曜日には身体中がなんだか重くて、やっとの思いで週末を迎えた。

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