307 / 1273

第307話

「感想書いて提出な。 五月蝿くしなきゃ席はどこでも良いぞ。」 「やったー」 「一緒に見よ。 あ、ストーブの前行こう。」 運良く視聴覚室代わりの地学教室が捕れた午後の授業。 気分転換も兼ねてDVD鑑賞になった。 丁度教材に最適な物をダビング出来たと学年で回している。 温かな前方は女子に奪われ、男子達は後ろでかたまっていた。 三条と田上、吉田も同様で長机に3人揃って並んでいる。 クラスメイトが振り返り、談笑でもしているのか楽しそうだ。 屈託ない笑顔。 こうして見ていると普通の高校生。 その幼気な高校生を手籠めにした狡い大人だと自覚させられる。 それでも、手に堕ちた喜びは甘美なものだ。 つくづく自分の性癖は死んでも直らないだろう。 少し暗いが、報告書をまとめようとカーテンの隙間から零れる明かりを頼りに書類に目を通す。

ともだちにシェアしよう!