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第308話

ちらりと前方に視線をやると肘を付いてぼーっと画面を見ている田上とその隣で船を漕いでる吉田。 三条は真剣に食い入っていた。 後ろからそうっと近づき吉田を起こす。 「吉田、感想書けるか。」 「ギリ……起きてる。 いや、駄目だ…顔洗って来ていいっすか。」 頷くとパイプ椅子を軋ませ廊下へと続くドアに半身をぶつけて行った。 その音にクラスメイト達は笑ったがすぐにスクリーンへと向き直る。 戻って来てからも眠そうな吉田。 なんとか見終えたといった所か。 これと言った話もなく、その場で簡単をショートを済ませる。 掃除当番があろうがなかろうがどっちみち鞄を取りに教室に行かなければいけないのだが、終わり次第放課の方が書き終わるのが早い。 「感想と課題、提出した人から放課な。 あ、掃除当番は遅れない様に頑張れ。」 カーテンを開けると青空に暗闇に慣れた目が眩んむ。 陽気は確実に春の気配を帯びてきた。 学校正面では梅が芳香を漂わせている。

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