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第311話
あたたかなバスの中。
そのあたたかい車内の窓際、日光が当たる席はもう春の陽気がする。
同じバスに乗車している人達も同じか、のんびりとした空気に身を任せていた。
このバスに乗るのは何度目だろうか。
毎週の様に長岡の元へと運んでくれる。
「ママっ、飛行機っ」
「本当だ。
飛行機だね。」
無邪気な声に空を見上げれば空に白を描く飛行機。
何処に行くのか。
誰に会いに行くのか。
しあわせな理由だと良いな、と雲の行く先を見上げた。
あと少しであの人の住む町に着く。
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