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第318話
まだほんのり赤い顔を見られない様にキャップを深く被り、車に乗り込む。
解っているのか楽しげな長岡を恨めしく思うが自業自得だと深くシートに座った。
「まだ飯には時間も早いしどうするかな。
時間かかるけど水族館でも行くか?」
その問いに三条は首否をする。
水族館も魅力的だがそれよりも…
「先生の部屋でゆっくりデートが良いです…。
外だと目立つし…その…」
「その?」
「………2人で…いたい…な、なんて…」
ぽんっと頭に手を置かれたかと思うと、キャップ越しに頭を撫でられた。
何故か満足そうな長岡に三条は疑問符ばかりが浮かぶ。
「じゃあ、帰るぞ。
部屋で誰にも邪魔されず2人っきりで過ごすか。」
2人っきり…
頷くとよしとシートベルトを締め、エンジンをかける。
「ありがとうございます。
カップも箸も。」
「沢山使おうな。」
また頭を撫でる大きな手。
優しい表情にしっかり頷いた。
「はいっ」
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