319 / 1273
第319話
玄関を潜る長岡に続いて三条も足を踏み入れると、目の前の大きな背中がピタリと止まる。
「正宗さん?」
「おかえり、遥登。」
「…っ!?」
どうかしたのかと名前を呼ぶと当人が振り返り、後ろ手にドアを閉めたまま抱きしめられた。
おかえり。
その一言にあたたかくなる。
「ただいま。
正宗さんもおかえりなさい。」
「うん。
ただいま。
やっぱり部屋の方が良いな。」
狭い玄関に大きな男2人で抱き合った。
冷たいドアノブから手を離し背中に回す。
胸いっぱいの恋人のにおい。
体温。
好きだと伝える様にきつく抱きしめ合った。
伝わってください
ともだちにシェアしよう!