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第320話

賑やかしにテレビを点け、先程買った食器類を洗う。 差ほど広くもないキッチンスペースに2人でいると時々腕がぶつかる。 何を飲むか悩む遥登を横目にインスタントコーヒーを手に取ると自分もと申し出た。 遥登が来る様になって増えた紅茶のパック、修学旅行の土産品の緑茶、一人暮らしにしては揃えたそれらはキチンと整理され棚に納められている。 「お揃いなんて学生みたいだな。 初々しい気分だよ。」 「先生だってまだ学生に見えますよ。」 こぽこぽお湯を落しながらお愛想を言う遥登と何気ない会話を楽しむ。 確かに学校でも雑談はするはやはり線引きがある分遠くに感じる。 だから今のこの距離がとても嬉しい。 「どうせおじさんだよ。 あと先生じゃなくて正宗、な。」 「正宗さん…。 まだ照れます、ね…。」 遥登は自分の分のマグカップに砂糖を落た。 付き合っている相手を先生って呼ぶ方がプレイみたいで恥ずかしいと思うのだが、当人にすれば呼び慣れている分照れが生まれないのだろうか。

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