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第324話
サラサラと指の間から零れる髪は真っ直ぐでやっぱり遥登に似ている。
温風を満遍なく当てながら指の腹で頭皮をマッサージするように乾かしていると、うなじや耳の近くは擽ったいのか身じろいた。
風呂と温風で赤く染まる頬。
細いうなじから続く背骨。
少し視線を前にずらすと骨張った鎖骨も丸見えだ。
「また痩せたか?」
「付かないだけです。
痩せてはいません。」
「ガリガリじゃねぇか。」
服で隠れているが、その着衣の中がどれ程細いのか長岡は三条本人より知っている。
三条の腕を捲ると骨張った、下手をしたら女の子のそれよりも細い腕が出て来た。
「先生だって細いです。」
「俺は普通だ。
見ろ、骨じゃねぇか。
食った分どこにいってんだよ。」
あんなに食ったのに腹がぽこっと出るだけですぐに消える。
食った分だけ付けば良いという訳でもないが、本当に何処へ消えるのだろうか。
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