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第325話

「お風呂ありがとうございました。」 リビングに顔を出すと正宗さんはじっとこちらを見てから立ち上がる。 どうしたんだろうと思う間に、首にかけたタオルを取ると視界が覆われた。 「…風邪ひく。 ちゃんと乾かせ。」 「わっ、わっ」 わしゃわしゃと髪を拭かれると、タオルが空気と触れて正宗さんのにおいを濃くした。 それが泊まりに来ているという事実をより鮮やかにする。 膝の間に座らされドライヤーで乾かされるのは恥ずかしいけれど、本当は嬉しい。 髪を触られるのってこんな気持ちかったっけ 強すぎない力で頭皮を押し上げ揉まれる。 首筋と耳の裏も擽ったいけど気持ち良い。 心地好さに目を閉じた。

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