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第338話
あぁ、好きだ
学校では見る事の出来ない甘い笑顔。
ゆっくりと絡まるお互いの指。
熱くなる頬。
「そんな顔で見ないでくれよ。
連れて帰りたくなる。」
「そんな顔…?」
「そんな顔。」
きゅっと絡まった手に力が入れられた。
長岡も同じ気持ちなんだと三条は小さく笑った。
ゆっくりほどける指が寂しい。
「おやすみ。
良い夢見ろよ。」
「おやすみなさい。
正宗さんも。
…じゃあ、失礼します。」
車を降りて暗闇に消えて行く三条を長岡はバックミラー越しに見送った。
角を曲がる際振り返って手を降る三条。
早く新年度が始まれば良いのになんて思いながら家路に着いた。
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