344 / 1273
第344話
あたたかな日の光に桜の蕾も膨らんだ。
ふっくらと、色を濃くするその蕾はもう数日もすれば咲き誇るだろう。
新年度になっても変わらない週末。
三条は、何時ものように長岡の部屋へと通っていた。
「遥登、進級おめでとう。」
ドンとテーブルに置かれた段ボール箱。
ガムテープでしっかりと封がされ、宛先が貼られたたままのそれに三条は段ボールと長岡の顔を交互に見た。
「あ、えっと、ありがとうございます。
それで…これは、一体…。」
宛名は長岡の名前。
段ボール箱は無地で一見して中身は分からない。
長岡がビリビリとガムテープを剥がし、口を開けて差し出してきたその中を覗き込んで三条は固まった。
「進級祝い。」
「…っ!?」
ともだちにシェアしよう!