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第344話

あたたかな日の光に桜の蕾も膨らんだ。 ふっくらと、色を濃くするその蕾はもう数日もすれば咲き誇るだろう。 新年度になっても変わらない週末。 三条は、何時ものように長岡の部屋へと通っていた。 「遥登、進級おめでとう。」 ドンとテーブルに置かれた段ボール箱。 ガムテープでしっかりと封がされ、宛先が貼られたたままのそれに三条は段ボールと長岡の顔を交互に見た。 「あ、えっと、ありがとうございます。 それで…これは、一体…。」 宛名は長岡の名前。 段ボール箱は無地で一見して中身は分からない。 長岡がビリビリとガムテープを剥がし、口を開けて差し出してきたその中を覗き込んで三条は固まった。 「進級祝い。」 「…っ!?」

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