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第356話
列の先に見知った頭部が見えた。
うちのクラスの3人組だ。
「おねしゃーす。」
「ん。
えーと、175…ジャストだな。」
先に並んだのは田上。
あんま伸びなかったなと言りながら場所を空けると、次は三条が用紙を差し出した。
「お願いします。」
「うん。
えー…、178.9…179か…。」
用紙に書き込んでいると、覗き込んできた田上は小さい方!と声を上げた。
僅か1ミリだが田上には大きいのだろう。
「179な。
はい。」
「ありがとうございます。」
指定靴を履きながら受け取ると田上と横に逸れる。
3人組最後の吉田が計測器に立った。
それを横目に三条は田上にたじたじになっていた。
吉田の身長は172.9cm 、田上は175cm 。
同級生と並ぶと三条は細さも高さも目立つ。
「せんせぇ、俺のおまけで173にしてぇ」
「悪い。
もう書いちまった。」
「そんなぁ…」
後ろでクスクス笑う三条や田上、順番待ちのA組生徒達。
吉田はクラスの雰囲気を
明るくしてくれて助かっている。
ムードメーカーの割に大きなトラブルは起こさない。
根は真面目な生徒だ。
「三条でかすぎだろ!
田上も!
ずりぃ」
「そんな事言われても…。
先生の方がでかいし。」
「いや、先生は例外。
有り得ない。」
高ければ高いなりに不便なのだが羨ましいと吉田は言う。
なにが羨ましいのかさっぱり解らないが、キスをする時に背伸びをする可愛い三条が見れるのは確かに良いなと頬を緩ませた。
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