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第357話

身体測定が終わり、そのまま昼休みへと移行した。 準備室へ戻ろうとしていた足を止め、騒がしい教室棟から4棟へと踵を返す。 無人のその廊下で見慣れた後姿が先を歩いていた。 手ぶらな所から同じ目的だろう。 トイレに入ろうと扉を開けた時、小走りで近付き閉じられそうな扉に手を伸ばした。 その瞬間、自分の存在に気が付いた生徒はあっと驚いた顔をした。 「あ、すみま…っ」 「よう。 止まんな。 ほら、入れよ。」 三条が呆気にとられている内に中に押し込み自分も中に入る。 そのまま自分で隠す様に個室へと入れ、後ろ手に鍵を閉めた。 「先生、なんで…」 「三条と同じ理由。」 カチャン…ッ やけに大きく響いたその音に、三条の目は水分量を多くした。 「三条、キスして。」 「え、此処、学校…」 「学校だな。」 「此処…トイレです…。」 「うん。 だから早く。」 囁く様に耳に吹き込むと、くりくりした目が本当に?本当に此処でするのか?と聴いてくる。 駄目押しに頬をするりと撫でると自分より高い体温がじんわりと伝わってきた。 あたたかく愛おしい恋人の体温。

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