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第359話

「おかえりなさい。 お邪魔してます。」 「ただいま。」 玄関扉の開閉音に顔を覗かせた遥登。 その笑顔に1日の疲れが吹っ飛ぶ。 定時に帰れそうだとメッセージを送ったら、少しだけお邪魔しても構いませんかと可愛いらしい返事が来たのは数時間前。 フットワークの軽い恋人は制服のまま部屋に来ていた。 「遥登、おかえりのキスは?」 「今日はどうしたんですか…?」 「んー。 女子生徒達が恋人とのキスは背伸びさせるのかって聞いてきてな。 勿論プライベートを話す義理はねぇからかわしたけど。 でも背伸びさせてみたら遥登可愛いしたまんねぇの。」 「あ、吉田も似た様な事言ってました。 だから180は欲しいって。」 「あぁ、だから騒いでたのか。 可愛い所もあるんだな。」 吉田の想い人は160中程はある。 ヒールを履かれれば同じ位の高さになるだろう。 女の子には可愛くあって欲しい!と力強く語っていただけに、自分が身長を伸ばすしかないと意気込んでいた。 立ったままするりと三条の腰に手を回し、指を組んで引き寄せる。 倒れない様に胸に手を着くと、すぐ上で意地悪げに口角を上げた恋人と目が合った。 「えっ…と、」 「恥ずかしいのか?」 「少し、」 引き寄せる手に力を入れ腰を押し付けると三条は更に顔を赤くした。

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