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第360話

「どっちが恥ずかしい?」 「どっち、って…、あの…」 ぐりっと押し付けた腰に三条のソレも当たる。 そのまま揺すったりしたらどんな表情を見せるだろか。 むくむくと嗜虐心沸き上がってくる。 どうやっていじめようかと頭を働かせているとスーツを握る手に力が入った。 「あの…おかえりなさい」 チュ…ッ 昼と変わらず口端へのキス。 それでも昼よりは幾分か長いだろうか。 不安そうに自分を見上げる遥登に笑みが零れてしまった。 「こうやんだって。」 ぺろっと三条の唇を舐めると噛み付くようなキスをした。 角度を変え、深さを変え、遥登の口内を堪能する。 舌を差し込み唾液を送り込み舌を吸う。 「ん…んぅ」 感じ始めた証拠に鼻にかかった甘い声が抜ける。 教えた事を忠実に実行しようとしているが不馴れな分たどたどしい。 しかも呼吸を止めている。 相変わらず下手くそなキスだけど、俺は好きだ。 遥登の真面目さもわかる。 何よりも、気持ちが伝わってくる。 「ン…、ふぁ…ァ」 「息しろって。 苦しいだろ。」 濡れた唇を指で拭い苦笑を漏らす長岡の視線はスラックスを緩く押し上げる三条の下半身へと注がれた。 若いソレに、長岡は目を細める。 「元気だな。」 「正宗さんがやらしいキスするから…。 それに、正宗さんの部屋、正宗さんのにおいでいっぱいだし…」 「お前なぁ」 ぽふっと胸に顔を埋める遥登を抱き締める。 恋人の清潔なにおいは穢れない程に綺麗なのに、セックスに雪崩れ込めば淫靡さが増す。 その甘美さと言ったら、例え底無し沼に嵌まると解っていても請い願う程に甘い。 「…飯とセックスどっちかって言ったらどっち選ぶ。」 「…………どっち、か、ですか…?」 「ふは、かわい。 じゃ、もっかい背伸びして誘えよ。」 「…して、ください」 チュ

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