361 / 1273
第361話
肉の焼ける香ばしいにおいに、ジュワーッと広がる醤油のにおいが混じると腹の虫が催促しだす。
「流石、高校生。
性欲に次は食欲か。
これ肉足りるか?」
「性欲って…。
正宗さんだって…その、すごかったじゃないですか…、」
「恋人が可愛いから収まらないんですよ。
それに、可愛くお強請りされて満足させてやれないなんて男じゃないだろ。」
意地悪げに細められた目にドキドキしてしまう。
右の口角が上がる時はわざとだ。
豆腐を味噌汁に入れながら見上げた長岡は楽しそうで、なんだか怒るに怒れないのは惚れた弱味ってやつなのか。
「満足したか?」
「あ……、その…、」
三条が答えに詰まると隣から大きな手が伸びてきて頭を撫でた。
ともだちにシェアしよう!