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第376話

「ん…」 目を覚ますとあたたかな腕の中だった。 寝る時は隣だったのに 抱きしめて寝てくれたのかな あったかい それに正宗さんのにおい 愛しい人のにおいとぬくもりに包まれて目を覚ます朝はとてもしあわせで、もう少しこのままで良いかと甘える様に胸にすりすりと顔を理めると頭上から声が降ってきた。 「おはよう、遥登。」 「あ…、おはようございます」 笑いを堪えたその声に今までの行動を見られていた事を悟った遥登は胸に顔を押し付けたまま動かない。 正確には動けないまま固まった。 「そんな恥ずかしがんなよ。 したいならすれば良いだろ。 俺は嬉しいよ。」 「…」 「はーる。 ほら、顔見て挨拶しろって親に言われなかったか?」 「言われました…。 正宗さんも言われたんですか…?」 「うちも。 じゃあほら、朝の挨拶。」 耳を擽りながらほらと急かされ、ゆっくりと顔を離すと整った顔が目の前いっぱいに広がった。 カーテンの隙間から零れる光できらきらと髪が光って、それが綺麗で、やっぱりこの人と付き合ってると思うと不思議な気持ちになる。 「おはようございます。」 「おはよう。」 チュ どちらともなく触れるだけのキスに、新しい一日がはじまった。

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