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第377話

「遥登って良い名前だよな。」 「え?」 長岡は自分の脚の間に三条を座らせ髪を梳きながら唐突に言った。 最初こそ恥ずかしそうにもじもじとしていたが離してくれないと諦め、大人しくテレビを見ていた三条はきょとんと背後の長岡を見上げる。 「名簿を貰った時から思ってたんだよ。 雄大で遥登によく似合ってるな。」 梳いていた髪をくしゃりと撫でられ微笑まれる。 7ヶ月前は想像する事さえなかった恋人の甘い顔にきゅんと胸がときめいた。 「父さんと母さんがつけてくれたんです。 1番子だからすごい悩んだそうです。」 名前に似合った子に育つ。 よく耳にするが実際そう生きれているのか不安になる。 そんな夢や希望、自分は背負っていけるのだろうか。 裏切りはしないだろうか。 「由来は?」 「母さんが、遥って漢字には芽が出るって意味があるって何処かで聞いたらしくて。 だから使いたかったそうです。 で、父さんがその芽がグングン伸びる様に登るって。 気に入ってるんです。」 やわらかい微笑みを溢す可愛い口にキスと落とす。 嬉しそうにそれを受けるロを舐め開かせ、舌を絡ませる。 ちゅぅちゅぅとー所懸命に舌を吸ってくる愛おしい恋人。 「好き、です」 「キス?」 「正宗さんが、好き、です」 ちゅっちゅっと至る所にキスを落とすとくすぐったいのか可愛い笑い声が聴こえる。 「誕生日おめでとう。 遥登。」 「え、知ってたんですか…!?」 「調査表見た。」 「職権乱用ですよ。 でも、ありがとうございます。」 今日は特別な日。 世界で1番愛おしい遥登の誕生日。 この1年、遥登に沢山の笑顔としあわせが溢れる様にと今日幾度目かのキスを落とした。

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