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第396話

『おしまい』 そう表示したメモ帳が目の前にちらついた。 うそ… そん、な… 『昼休み終わるぞ 着替えもまだだし田上達が怪しむ』 目の前の甘い快楽は奪われ、現実を突き付けられる。 手を出された訳でもないのにいやらしい空気に酔いそうな三条は小さく身震いをするとくたりと扉に体重を預けた。 『普通の生徒と教師なんだもんな』 わざと普通を強調させた文が恨めしい。 数度息を深く吐くと、脚に力を入れしっかりと立ち上がり、にやにやと自分を見下ろしている教師のスーツの襟を引っ張った。 「恋人、だから…」 チュゥ… 「仕返しです」 小さな音をたてて吸い付いたのはシャツから覗く首筋。 更に体温の上がった身体で後ろ手に鍵を開ける。 「失礼します…っ」 もう顔を見る事が出来ない。 キスマークがついたすら確認する事も出来ないままバタバタと廊下へと出た。 やばい… 顔、熱い… 小走りに無人の更衣室へと戻る。 制服に着替えると首元が見えてしまわない様にきっちりとネクタイを締め上げ、友人達が待つ教室へ急いだ。

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