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第397話
『おしまい』
そうメモ帳に打ち込み、三条の目の前にちらつかせる。
あーぁ
嫌々しながら残念そうな顔して
すっげぇ楽しい
『昼休み終わるぞ
着替えもまだだし田上達が怪しむ』
目の前の快楽を奪い、現実を突き付ける。
手を出された訳でもないのにいやらしい気分に酔ったのか顔を真っ赤にした三条は扉に体重を預けた。
『普通の生徒と教師なんだもんな』
わざと普通を強調させた文を突き付けると上目で見上げてくる生徒のジャージのポケットに携帯をしまう。
乱れた呼吸を整える生徒は数度深く息を吐き、脚に力を入れてしっかりと立ち上がる。
にやにやと見下ろしていると、意を決した顔の生徒にスーツの襟を引っ張っられた。
「恋人、だから…」
チュゥ…
「仕返しです」
吸い付かれたのは首筋。
シャツから覗くそこにやわらかな皮膚が触れ小さな音をたて離れた。
「失礼します…っ」
個室の鍵を開けると急いで出ていく恋人に笑みが零れた。
バタバタと遠ざかる足音を聞きながら長岡も個室を出る。
満足げに鏡を見ると、鬱血すらしていない首筋が映っているが、三条の精一杯の背伸びが嬉しい。
今度ペッティング教えてやろう
教師の顔を張り付け廊下を歩く国語科教諭がその仮面の下でそんな事を考えてるとは誰も知らない。
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