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第407話
結局事務長と教頭に捕まって仕事が終わったのは18時を半分以上過ぎた頃。
急いでスマホを確認すると、なんとか電車に乗れたと10分程前に連絡がきていた。
はぁ…
良かったは良かったけど
待てを喰らったのは長岡も同じ。
まさか最後迄出来るとも思わなかったが、色々と中途半端で不完全燃焼が気持ち悪い。
遥登は殊更そうだろう。
「溜め息ついてどうされました?」
「あぁ、亀田先生。
お帰りですか。」
「えぇ。
長岡先生、根の詰めすぎは身体に毒ですよ。
今日でなくても構わない仕事なら月曜日の自分に任せてたまには早く帰りましょう。
罰は当たりませんよ。
さ、帰る支度をしてください。」
でも…、と言いかけた言葉は飲み込んだ。
理由が理由だが、自分を気にかけてくれる先輩教師に甘える事だって大切だ。
誰だって頼られれば嬉しい。
心配されているうちはまだまだ未熟だと思い知らされるが、気にかけてもらえるのはなんだか嬉しい。
「そう、ですね。
たまには、早く帰ります。」
穏やかに笑う亀田はそうですよと向かいに座る女教師にも声をかけた。
準備室に定席している国語科教諭は亀田の一声で19時前に退勤する事が出来た。
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