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第419話
良く晴れた日曜日。
部屋を通る風が気持ち良い。
穏やかな時間が流れる。
2人は昼間からベッドに寝転んで、長岡の腕を枕にたわいもない話をしていた。
「それで、那須与一が扇を射た後小船の上で舞ってた老武士も射ちまったんだよ。
まぐれじゃねぇぞってな。」
「うわ…。
なんかイメージと違いますね。
教科書カットなんて勿体ないです。」
「あぁ、勿体ねぇよな。」
開け放した窓から入る風で髪が顔にかかった。
邪魔だと思いながらも遥登の手を握る手は離したくない。
気にしないふりをしていると繋いでいない方の手が乱れた髪を払った。
「ありがと。」
「正宗さんって髪の毛下ろしてると幼く見えますよね。
セットしてるのも好きだけど、下ろしえるのは中々見られなくてレアです。」
「毎週見てるくせに。
あ、来週どうするんだ。
テスト勉強か?」
力の入る恋人の手に長岡は弄っていた手を止めた。
「テスト…早く終われば良いのに…」
ぽつりと零れた言葉はきっと遥登の本音だろう。
学生の大多数はテストなんて早く終われ寧ろなくなってしまえと思うが、遥登のその言葉はきっとそれともう1つ意味がある。
「そうだな。
早くいちゃつきたいもんな。」
「…っ」
「少なくとも俺はいちゃつきてぇ。」
「…」
「ははっ、顔真っ赤。
かわい。」
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