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第422話

「そろそろ閉館しますよ。 帰る準備してください。」 「もうそんな時間か。」 「身体バキバキ。」 司書の声に図書室にも談話が聞こえはじめた。 三条もパキパキと空気を潰し、教科書やらノートやらを鞄に詰め込む。 「腹減ったー」 「がっつりラーメン食いたい。 三条行ける?」 「行く。 今日の気分は味噌ラーメンだな。 吉田は?」 「行く行く。 あの、知佳ちゃん達もどう…?」 「良いの? 未知子行こうよ。」 「行く! 私もお腹減ったー。」 後ろにいる吉田を三条と田上は振り返ると嬉しそうに頷いた。 廊下へと続く扉を潜り、3人肩を並べ声を潜めながら階段を降りていく。 「吉田、良かったな。」 「な。 席に誘った俺らに感謝してくれて構わないからな。」 「三条様、田上様、ありがとうございます!」 「うむ。 …ふはははっ」 「崇め給え崇め給え。」 女の子2人は2人で楽しそうに話に花を咲かせている。 三条は本当に人に恵まれた。 友人も担任も、恋人も。 入学時の不安はもう思い出せない。 笑い声が辺りを包む中、三条はそんな事を思った。

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