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第427話

県内にも梅雨がやってきた。 …のはずなのに、全然雨が降らない。 畑も田んぼも乾いてしまうのではないか、田舎で育った三条はぼんやりと空を眺めながら考えていた。 「アボカドうまっ。 やっぱ新商品は食うべきだよなー。」 すっかり恒例となったテスト明けのモフ。 毎回の事ながら食べ盛り高校生3人の前には1人2つ3つと複数個のハンバーガーにポテト、ドリンクと並んでいる。 勿論、これから追加でデザートも食べる。 「アボカドってそんな美味い? 食えない訳でもねぇけど好んで食いもしねぇな。」 「美味い。 エビアボカドなんて最高だぞ。」 「美味しいよな。 俺も好き。」 「三条は好き嫌いねぇもんな。」 「いや、パクチーは石鹸の味がして好んで食べない。」 石鹸!?とケラケラ笑う友人を横に三条もアボカドのサンドされたハンバーガーを頬張る。 口端に付いたソースをぺろりと舐めとると談笑の輪に加わった。

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