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第430話

白いそれにヒビをいれぱかりと割ると、三条は目を輝かせた。 その反応は何度見ても飽きる事がなく、もっと見たいとさえ思う。 「ジャージャー麺に温泉たまご!」 頬が蕩ける様な笑みを浮かべにこにこと自分を見てくる三条につい長岡まで頬が緩んでしまう。 黄色い中華麺にピリ辛の肉味噌をたっぷりのせ、きゅうり、更にたまごを落とした。 こんな気温なら温かいものが良かったかとも思ったが、風の当たらない部屋の中はそんなに寒いわけでもなく三条も寒がる様子はないから大丈夫か。 「本当に良い反応してくれるよな。 作りがいがあるよ。 あ、麦茶持ってきてくれるか。」 「はいっ。」 長岡がローテーブルの前に腰を下ろすと麦茶を持って来た三条も腰を下ろした。 ポットからカップに麦茶を注ぐ三条を待って昼飯に箸を伸ばす。 「いただきます。」 「いただきます。 うわ、うまっ」 ははっ、可愛い 「そりゃ良かった。」 パクパクと美味しそうに食べる遥登が黄身をつつくととろりと黄色が広がり、遥登の笑顔もとろとろになる。 遥登の口の端に付いた黄色を指で拭い舐めとると遥登は真っ赤になった。 「子供かよ。 はるちゃん。」 「違います…」 「じゃあ、大人な事、するか? 子供じゃないんだろ。」 「っ!?」 大きく見開かれた三条の目に、長岡は目を細めて髪を撫でた。 「お楽しみは後でたっぷりな。 今はしっかり食べなさい。」 長岡は三条の反応に満足げに笑うと食事を再開した。

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