431 / 1273
第431話
“大人な事”
なんとか食事を終えた後も長岡は手を出してこない。
普段通りだらっとソファに腰掛け、三条が持参したDVDを観ている。
三条も麦茶を飲みながら画面を見てはいるが、意識は他へいっていた。
と言うより、内容が中々頭に入ってこない。
…これじゃあ、期待してるみたいだろ
はしたない…
好きな人と両思いで、三条も健全な高校生だ。
したくないと、言えば嘘にはなる。
なるが、性格的な問題で自ら理性をかなぐり捨てる事は殆んどない。
一緒にいれるだけで十分しあわせだし
嬉しい
ちらりと覗いたその横顔にしあわせを噛み締める。
漸く集中し始めた終盤。
「はる、ちょっと」
「なんですか?」
おいでおいでと呼ばれ、なんだろうと近づくとぐいっと腕を引かれ抱き留められた。
胸に抱かれ長岡の顔を見る事は出来ないが、十中八九いやらしい顔で笑っているだろう。
これまでの経験と、自分の臀部を撫で回す手付きのやらしさがその証拠。
「正宗さん…っ、どこ触って…」
「食後すぐだと吐くだろ。
待ってたんだよ。」
「しないんじゃ…っ、ぁ」
「なに言ってんだ。
俺は有言実行なんだ。」
サディスティックな長岡の声に、三条はぶるりと身体を震わせた。
ともだちにシェアしよう!