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第443話
「えー、皆さん暑い中ご苦労様でした。
暑いので手短にしますから、ちゃんと聞いてくださいね。
まず、総合優勝の…」
表彰式を終え、校長のやたら長い挨拶を聞きながらまだ厳しい日光を浴びる。
天上の太陽と、それで熱せられた地面も熱い。
頭の後ろがヒリヒリと痛む様だ。
前方では賞をとった3年生が嬉しそうにしている。
「それから3年生は最後の体育祭になった訳ですが…」
まだ続くのかと、そこらじゅうでため息が聞こえる中、三条も例外ではなく小さく息を吐いた。
知ってはいるが校長の短いは当てにならない。
本部テントから出て来た人影にそちらを見ると長岡だ。
細い腕を隠す様にまたジャージを羽織った長岡の髪が太陽光に透けてキラキラ光っている。
細いけど筋肉もしっかりついているあの腕の力強さを思い出した三条は別の意味でアツくなった。
「という事で、私の話は終わります。」
やっと終わったと全校生徒の空気が解放される中、長岡と目が合った三条だけは緊張が走った。
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