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第447話
コンビニ行から出るとフィルムを剥がしたアイスにかじりつく。
ひんやりしてさっぱりした甘さが口一杯に広がる。
「うまー」
「吉田、一口頂戴。」
「ん。
交換な。」
信号を待ちながら、その時間すら待てないアイスを食べる。
電信柱の陰でさえ恋しい気温に汗が止まらない。
「明日、普通に授業あるとかないわー。
休みてぇ。
早く夏休みになんねぇかな。」
「あ、夏休みどうする?」
「田上のところの花火大会見に行きたい。
灯籠流し綺麗だよな。」
「来いよ。
母ちゃん三条の事気に入ってるから喜ぶよ。」
「うちの母さんも三条の事気に入ってる。
マダムキラーかよ。」
マダムキラーって、と苦笑を浮かべながら横断歩道を渡る。
夏休みは確かに楽しみだけど、毎日長岡に会えなくなってしまう。
補講に通うつもりでいるが毎日ある訳でもない。
この友人達にも会えないのか。
少し寂しいなと先行く2人の背中を見た。
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