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第448話

地元の吉田と駅で別れ田上と電車に乗り込むと、冷えた車内に汗がひいていく。 「涼しいなぁ。」 「涼しい。 最高。」 空いてる席に並んで腰を下ろし電車に揺られる。 他にも体育祭だった学生が揃いのTシャツを着て楽しそうに話し込んでいたり各々長い乗車時間を過ごしていた。 「三条くん、夏休みは彼女とイチャイチャですか?」 「あのなぁ…」 悪戯気な田上の声に苦笑を浮かべる。 イチャイチャと言うか、長岡は毎日仕事だ。 生徒が休みでも職員は仕事がある。 寂しくないと言えば嘘になるが、自分だってしなくてはいけない事もある。 夏休みは嬉しいけれど、嬉しくない。 思わず溜め息が出てしまった。 「分かってるよ。 バイトだよな。」 「修学旅行もあるし何かと必要だろ。 優登も1泊で体験学習あるし、親に甘えてらんないよ。」 「修学旅行な。 俺ももう少し入ろうかな。 土産品って案外高いよな。」 本当はもう1つ理由がある。 大切な理由。 その為なら頑張れる。

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