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第451話

お昼を食べ終え遥登も冷えてきた頃、冷房の温度を少し上げた。 それでも涼しい室内でお持たせの清涼飲料水を2人で飲む。 「そうだ。 遥登、ご褒美なにが良い?」 「忘れてた…。」 「頑張ってたもんな。 なんでも良いぞ。」 サラサラと手から零れる髪を弄りながら三条が考えるのを待つ。 少しの間を置いて三条は口を開いた。 「カレー、食べたいです。」 「そんなんで良いのか? カレーなんて何時でも作るぞ。」 「そんなんじゃありません。 正宗さんの作ってくれるカレーすっごい美味しいんです。」 「そうか。 じゃあ、目玉焼きもつけようかな。」 はいっと破顔した遥登の髪をわしゃわしゃと掻き乱す。 純粋で素直な遥登。 今どきの高校生はもっとすれていると思っていたが、遥登はそうではない。 感情を素直に表現する様子は子供の様だ。 それは羨ましくもある。 「先生も早かったです。 2人も抜いて格好良かったです。」 ころころと笑う遥登の声は楽しそうで、あの時こそ頑張って良かったと思う。 「へぇ、格好良かったか。」 「はいっ。 先生もご褒美です。 何が良いですか?」

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