459 / 1273
第459話
「遥登、出掛けるから少し付き合ってくれるか。」
「俺は構いませんけど…」
三条の疼きがやっと治まった頃、長岡は三条を誘った。
財布を後ろポケットに捩じ込むと、スマホと鍵を持って立ち上がる。
遥登にキャップを被せ、手を引いて部屋を出た。
夕方になっても気温は変わらず蒸し暑い。
それでも蝉は大合唱をしている。
ずっと涼しい部屋にいただけに、より茹だる様だ。
三条を助手席に押し込むと長岡の愛車は静かに走り出した。
「どこに行くんですか?」
「秘密。」
ともだちにシェアしよう!