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第469話
目を覚ますと隣で長岡が文庫本を読んでいた。
起きた事に気が付いたのか本を閉じるとこちらを見て綺麗に笑う。
「起きたのか。
おはよ。」
「あ、おはよ、ございます」
掠れた声に怠く重い身体。
いまだ閉められたままのカーテンの向こうはとうに朝を向かえている。
「ははっ、声がさがさ。」
「誰のせいですか…、」
「俺のせい、
じゃなかったら困るな。」
「朝からなに…、ん」
「残念。
もう昼。」
ちゅっと首筋に口を寄せられびくりと振るえる身体。
腰に鈍い痛みが走るが、寄せられた唇の熱さの方が強い。
「え、何時で、ひっ」
「11時半」
空が白んでから寝たはずだから…
何時間寝たんだ…
休んでは身体を重ね、何回したか思い出せない。
最後の方は眠さと体力の消耗で記憶さえ曖昧だ。
「う、動けないです…」
「1日世話するから気にするな。
なんでも、するぞ。」
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