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第471話

「少し冷たいぞ。 ……ん、おわり。」 「ありがとうございます。」 大分身体の調子も戻ってきたのは目が覚めてから半日程過ぎてからだった。 変わらず甲斐甲斐しく世話を長岡に三条はされるがまま。 風呂上がり、さっぱりした身体に湿布を貼り付けて貰った。 大分痛みも怠さも収まったが、念の為らしい。 湿布薬の袋をしまい台所へと向かう長岡の背中を見送りながら服をなおす。 「遥登、半分こな。」 そう言って台所から戻って来た長岡が差し出したのはチョコレート色のアイス。 昨日この部屋を訪れる前に購入したものの1つで、風呂あがりに半分こと約束をしたものだった。 「はいっ。 いただきます。」 「俺もいただくな。」 2人でチューチュー食べるアイスは、お風呂で火照った身体に染みていく。 「久しぶりに食うと美味いな。」 「良かったです。」 以前、このアイスは半分こするから美味しいと弟が言っていたが本当にそう思う。 それも好きな人とだと尚更。 「他にも味がありまして…あの、また半分こしたいです」 「ん、また食おうな。 俺も買っとく。」 それは言外に、また泊まりに来ても良いと言う事。 アイスを食べながら頬を緩ます三条。 そんな三条を横目で見ながら口角を上げる長岡。 「美味しい。」 「美味い。」 次の約束が嬉しくて嬉しくてたまらない。

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