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第472話
ぼんやりとした意識を覚醒させる。
傍らの長岡はまだ寝ているようだが、以前寝ている長岡にすり寄り堪能していると実は起きていたという事があった。
「正宗さん」
起こさない様に小さく呼び掛けてみたが反応はない。
「寝てますか?」
もう一度小さく訪ねる。
「寝てますよ。」
「ふふっ、寝てますか。」
「寝てます。」
綺麗に閉じられた目。
だが、口角は上がっている。
ゆっくり開かれる瞳に自分が写った。
「おいで。」
頭を胸に押し付けるように抱き締められ、頭をぽんぽんと撫でられる。
優しい手にふわふわと甘い空気が漂う。
髭の伸びたこの人を見れるのも、寝起きで乱れた髪を見れるのも自分だけ。
この癖も、“長岡先生”はしない。
「おはようございます。」
「おはよ。」
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