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第473話
「遥登」
「はい?」
「遥登」
「はい」
顔を上げると綺麗に整った顔が優しく自分を見ていた。
存在を実感する様に名前を呼ぶ愛しい人。
すりっと長岡の胸に頬擦りをする。
どこも長岡のにおいでいっぱい。
体温も安心する。
「甘えただな。」
「起きて正宗さんがいるの安心します。」
「俺も。」
「正宗さん」
「朝からたまんねぇ。
最高の目覚め。」
髪を撫でる癖も
大好きです
帰りたくない。
また明日からは教師と生徒の関係になる。
夏休みも会えない訳ではないが、会える時間は格段に減ってしまう。
「なぁ、一昨日のセックスの時言った事覚えてるか?
愛してるって沢山言ってなってやつ。」
「愛してるなんて、言ってなかったじゃないですか…っ」
「ははっ、なんだ覚えてんのか。
セックスに必死かと思った。」
意地悪な言葉とは逆に髪を撫でる手は優しい。
これも恋人の癖なのだろう。
「……好き、です。
好き、あの…あ、の」
「俺は愛してますよ。」
さらりと言ってしまう長岡の言葉は決して軽いものではない。
自分を拘束するには十分な重みがある。
「お、俺も、あい、してます。」
「大変良くできました。
頑張りましたね。」
耳を真っ赤に染め上げ胸に顔を埋め隠して言った告白。
長岡は満足そうに笑いながら教師みたいな口調で褒める。
「先生みたいです…」
「先生ですから。」
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