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第474話
「遥登、夏好きか。」
「普通に好きですよ。
なんでですか?」
「冷めたい料理が多いから好きなんかなって。」
昼食のそうめんを湯がきながらにやにやと言ってくる長岡に三条はどういう意味だと薬味を切る手を止めた。
「遥登猫舌だろ。
冷ます手間かからねぇし。
あ、でも中身は犬っぽいか。
まぁ、どっちも似合ってて可愛いよ。」
「猫舌じゃありません。
少し熱いのが早く食べられないだけです。
それに犬ですか?
そうかな。
先生は猫っぽいです。」
「へぇ?
俺がか。」
興味深そうな目が自分に向けられた。
器用に吹き零れない様火力を弄りながら、視線を送られ話を続ける。
「自由気ままでよく噛んできます。
なんだっけ…グルーミング?反動行為?」
交尾の際痛みに逃げようとする雌猫の首を噛む雄猫とよく似ている。
恋人の場合、首だけではなく全身だが。
考えながらも切った薬味を皿に移す。
「だって遥登いいにおいすんだもん。」
「っ!?」
流しのザルにそうめんをあけながらとんでもない発言をする長岡に、三条は目を大きく見開いた。
三条の反応にくつくつ笑いながら手際よく流水で洗い流し水気を切る。
「伸びるから早く食おうか。」
「大人って狡いです…っ。」
「子供ってのは期間限定だぞ。
今のうちに堪能しとけ。」
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