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第475話

「はー、腹一杯食った。 遥登が居るとつい食い過ぎちまうな。」 「俺のせいですか?」 この細い身体のどこに入るのかよく食べた三条の腹はぽっこりと膨れている。 長岡も細身だがよく食べる。 本人は中年太りだけは避けたいらしいが学生時代から体型は殆ど変わっていない。 「そ、いじめちまうのも食い過ぎちまうのも遥登のせい。」 「いじめって…。 それは、正宗さんのせいなんじゃ…。」 口を尖らせぽつりと溢した言葉を長岡は丁寧に拾う。 この子の言葉は全文訊き逃したくない。 そんな阿呆な事を真面目に思える程、ぞっこんだ。 「遥登のせい。 特にセックスなんて、遥登のやらしい顔見てるととまんねぇ。 随分やらしい顔するように…」 「何言ってるんですか…っ! お昼ですよ…っ!」 「はいはい。 じゃあ、隣に座ったら止めてやる。 乳首もぷっくりしてきたし…」 「しっ、失礼します…っ!」 何時もより素直に隣に腰を下ろした三条は俯いていて表情は見えないが、清潔な髪の隙間から真っ赤になった耳が見えている。 きっと困った様な恥ずかしい様な、それでいて嬉しそうな顔をしているんだろう。 かわい これだからいじめちまうんだよな ご満悦の長岡は数度三条の頭をぽんぽんと叩いた。

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