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第484話
手洗いを済ませ、リビングに行くとさっきまで課題をしていたのか卓上にプリントが出ていた。
1枚手に取ると性格を表している字体で答えが書き込まれている。
何十回、何百回と見てきた文字。
「あ、片付けますっ。」
「そんな慌てるな。
待てるよ。」
プリントや参考書を鞄に詰め込む後ろ姿。
丸い頭を支える細い首へと続くラインは夏になって更に細くなった様にも思う。
「夏休みっていっても結構な量の課題でてんだろ。
こんな部屋で良いのか?」
「……会いたい、です…から」
小さな声は、けれどもしっかりと長岡の耳に届いた。
逃げる様に炊事場へと戻る恋人の後を追って歩く。
「なんですか…」
「いや、別に?」
「顔、緩んでます…」
「元からだ。
気にするな。」
にやける頬をそのまま構い続けていると、ほんの少し嬉しそうな顔を見せた。
これだからやめらんないんだ。
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