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第485話
白飯に茄子と玉ねぎの味噌汁、煮魚に冷奴、ほうれん草ともやしのお浸しと茄子の炒め物。
何時も簡単なものや麺類が多いだけに、煮込んだり時間のかかる和食は嬉しい。
「うめぇ。
よくあの冷蔵庫の中身で作れたな。」
「大袈裟ですよ。
魚以外買い足したりはしてませんし。
あの、本当に茄子全部使っちゃいましたけど良いんですか?」
「あぁ、助かる。
何作ってくれた?」
「揚げ浸しと味噌で炒めました。」
「最高だな。」
玉ねぎの甘味が利いた味噌汁も美味い。
「茄子、好きなんですか?」
「亀田先生が分けてくれるんだよ。
家庭菜園されててな。
助かってる。」
バクバクと胃の中に納められていく夕食。
美味い飯に目の間の恋人に、仕事の疲れなんて忘れていく。
「おかわりあるか?」
「はい。
よそって来ますね。」
「悪いな。
ありがとう。」
少し甘めの煮魚はいかにも家庭の味。
煮魚だけでも十分白飯が進むのに、それに加え、茄子の炒め物は胡麻油の風味が良いし、冷奴やお浸しはよく冷えていて口の中がさっぱりする。
遥登の手料理を明日も食えるなんて仕事から帰ってくるのが楽しみだ。
「遥登」
「はい。
味噌汁もおかわりですか?」
「いや、自分でやる。」
ご飯をよそう三条の隣に立ち味噌汁のおかわりを注ぎ、通り道を塞がれた三条からご飯茶碗を奪いあげた。
きょとんとした顔が自分を見る。
「ありがとな。」
「これくらい何時でも作りますよ。」
ふにゃっも笑う三条に明日も頑張ろうと鋭気を養う。
明日は苦手な大仕事が待っている。
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