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第500話

日付も大きく変わった頃、勉強もそこそこにごろんとベッドに寝転がりながら長岡から借りた小説を手に取るとパラパラと捲る。 表紙の綺麗なそれは微かに長岡の部屋のにおいがする。 唇腫れるかと思った… 長い間キスされ続けた唇はなんだか不思議な感覚で、三条は唇をなぞった。 まだ長岡の熱が残っているかの様に感じてしまう。 主人公の准教授とその友人の小説家が、まさにこれから犯人を追い詰めると言う一番面白いシーンだと言うのに頭の中は数時間前でいっぱいになってきた。 無意識にぺろりと唇を湿らせてしまう。 長岡の綺麗に整った顔が近づいてきて、あの肉食動物の様な目で見られてしまうともうあとは捕食されるのを待つしかない。 食べられると思うと同時に目をきつく瞑るとあたたかな唇が自分のそれと重なって、しあわせな気持ちに満たされていく。 やば、勃ちそう 思い出しただけで下着を押し上げそうになる陰茎を鎮めながら、准教授と犯人との推理戦を読み進めていった。

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