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第502話

「そういえば、先生の名前って誰がつけたんですか?」 交代でとった夏休み。 とは言っても土日を含めた三連休。 溜まった洗濯物を洗濯し、干していると問われた。 シャツをハンガーに引っ掛けて渡してくる遥登はいかにも興味津々といった顔をしている。 散歩に行く前の犬ってきっとこんな感じなんだろうな 「いきなりなんだよ。 あー、名前をつけたのは父方の祖父。」 それがどうしたと聴こうとすると背伸びをした遥登に抱き着かれた。 ふわりと身を包む清潔なにおい。 「お誕生日、おめでとうございます。」 誕生日。 この年になって自分の誕生日なんて興味がなかったからすっかり忘れていた。 どうりで最終週に休暇をとったらどうだと亀田から進められたのかと納得する。 「正宗さんに会えて良かったです。」 よく晴れた土曜日の昼、洗濯物に隠れて抱き合う。 「大袈裟だな。 でも、うん。 ありがとう。」 ぎゅぅっと抱き着いてくる可愛い恋人はまたいくらか身長が伸びたようだ。 恋人の友人に比べれば大きく、それでも自分より小さな存在を抱き締め返す。 「正宗さん、大好きです。」 「俺も大好きですよ。」 青空に真っ白いシャツがパタパタとはためいて気持ちが良い中、大切なぬくもりをしっかりと抱き締め返した。

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