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第526話
全校集会と言う名の長い校長の話を聞き、課題を集め確認テストも終え、午後から普通授業が再開された。
眠そうな目で授業を受ける生徒の姿にどんな夏休みを過ごしたのか容易に想像出来る。
そんな生活が出来るのもあと数年。
社会に出てからは夏休みなどないのだから今の内にだらけておくのも大切だ。
放課後、長岡は早めに返却出来る様にと早速確認テストの採点に手を着けた。
文系理系でそろそろ点数に大きな差が出始めた。
毎回赤点組も殆ど固定され、どうしたものかと溜め息が出てしまう。
理系の田上吉田は古典がまるで駄目。
文系の三条や中川知佳から教えてもらっている様子を見掛けるから努力はしているのだろが、この点数は…。
出来ない所をどうこうするより、出来ている所を伸ばしてやった方が自信にもなるか…
うーんと唸る。
吉田は兎も角、田上は古典に対する苦手意識が見て解る。
せめてもっと身近に感じて貰えれば…。
「長岡さん、もう採点してます?」
「はい。
先生もですか?」
「えぇ。
今回のテスト難しかったですか?
ちょっと平均的に正解数が少ないんですよね。」
「こっちもです。
そんな難しいって事もないと思ったんですけど…。」
「あー、失敗したかな。
どうしよう。
補習設けた方が…」
頭を抱える女教師はぶつぶつとどうしようと呟くとふらふらっと準備室を出ていった。
ぐるりと校内を歩いて頭をすっきりさせるのだろう。
生徒に合わせて作ったはずでも、的を射らない時も多々ある。
夏期講習に参加したり補習、補講に出席した生徒とそうでない生徒の差が開きすぎても授業の進行に問題が出てしまう。
丁度良い、とは難しい。
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