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第545話

長岡が言うには掛け布団の上でしたから汚れたのは布団だけ。 丁度良く晩の寒さに引っ張り出した毛布があったからそれに包んでくれたらしい。 汚してしまった布団は洗濯をしたから明日は使えると、笑っていた。 「ぅ、ぅー、ぅーっ」 「強すぎたら言ってな。」 ふわふわの毛布に顔を埋め、ぎゅーっと腰を圧されると腹の底から声が漏れる。 腰から背骨に添って上がってくる大きな手は強すぎず弱すぎず、丁度良い加減で身体を解していく。 痛気持ち良い… 恋人のにおいと洗剤のにおいの混ざった毛布に顔を埋めずると気持ち良さにうとうととしてしまいそうになる。 だけども、このまま眠気に負けてしまえばあっという間に帰らなければいけない時間になってしまう。 折角の逢瀬が勿体ない。 「もう大丈夫です。 ありがとうございました。」 「ん。 じゃあ、湿布貼るから。 少し冷たいぞ。」 横に置いておいた湿布薬を貼り終わると服を直された。 以前長岡とデートと称して購入した服は半袖や薄手のものばかりで、今は長岡の服を借りている。 もそもそと起き上がると、動く度にふわりと香る恋人のにおいにドキドキと胸が早鐘を打つ。 何時まで経っても付き合いたての様な気持ちが続いている。 何時までもこのままの気持ちでいたい。 「また外でデートしような。 俺の服着てる遥登もすげぇそそるけど、サイズ合ってた方が良いだろ。 今度は少し遠出してどっか遊べる様に調べとく。」 「デート」 「そ、デート。 たまには良いだろ。 どこ行くかな。 遥登は、どこが好き?」 「家も好きです。」 「うん。 いちゃいちゃ出来るもんな。」 笑いを含んだ声と横から伸びてきた腕に抱き締められながら三条は頷いた。

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