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第551話

だむだむとボールが跳ねる振動が自身の心臓迄を震わせる。 「A組ー! 勝てるよー!」 「いけいけーっ!」 2日目午前第一試合。 まだ若干眠そうな目でボールを追うA組生徒にクラスメイト達は声援を投げ掛ける。 「ナイッシュー!」 「D組負けんなーっ!」 「取り返せ!」 3学年相手に本気でぶつかりにいくA組は秋の気候の中、汗をだらだらと垂らしていた。 「1点差縮まらないね。 観てるこっちが緊張する…。」 「手汗半端ねぇ。 3年、部活引退したのなか身体鈍ってねぇな。」 本当にその通りだ。 3学年は勉強詰めのストレスを発散するかの様に動き、1点取っては取り返され、更に取り返せばまた1点と激戦が続いている。 「あ、そろそろバレーの試合じゃね?」 「は、今良いところだろ。 マジかー。」 そろそろ三条達の試合もはじまるか。 良いところ迄観たら、そちらも応援に行きたい。 「頑張ってこいよ。」 「うぃー」 後ろ髪引かれる重いで第一体育館を去っていくバレーチームに長岡は声をかける。 やる気のない返事を返す割りに吉田はやる気のようだ。 三条はこくりと頷くとチームメイト達と第二体育館へと消えていった。

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