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第558話
テストも返ってきて、学校内はすっかり文化祭一色。
2学年は更に修学旅行まである。
楽しそうな空気が学校中に溢れていた。
「三条、おはよー。
お、それ見ると冬だなぁって思うよな。」
「おはよう。
あぁ、これ。」
10月になり冬服になったといっても、制服の生地の厚さが暑くなりジャケットが増えただけ。
いきなりの低温に慣れてない身体はまだ少しの風も冷たく感じる。
玄関で会った三条と田上。
2人が言う、それ、これ。
それを指すのは三条の着ているセーター。
「優登、三条に似合うやつ見付けるの上手いよな。
すげぇ才能。」
「良いだろ。」
深い赤色のセーターは派手過ぎずキツ過ぎず、三条の肌色をより綺麗に魅せていた。
入学時、中学から着続けていたシンプルな紺色のものを着用してた三条。
防寒で着ている物でこれといった不満もなかったが、去年の誕生日に優登から誕生日プレゼントだとこのセーターを貰ってから愛用している。
色もそうだがあたたかく着心地が良い。
確かに、優登はこういうものを見付けるのが上手い。
靴を履き替え、教室へと並んで廊下を歩く。
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