559 / 1273

第559話

田上と話していると、チャイムギリギリに吉田が教室へと滑り込んで来た。 「セーフ!」 「ギリギリな。」 「吉田、おはよう。」 寒い寒いと言いながら縮こまる吉田に挨拶をすれば、おはよーと返ってくる。 おちゃらけたイメージがあるがきちんと礼儀がある友人が席に座ると、担任がやって来た。 今日も1日がはじまる。 「おはようございます。 欠席の連絡はなし。 遅刻もなし…、と。 今日の予定ですが、6限の現国を学年でプリント3枚を課題にする替わりに修学旅行のグループ分けに変更しました。 あと体調管理しっかりな。 文化祭と修学旅行も近いし風邪とかインフルエンザかかんなよ。 体調悪かったら無理せず、今のうちに治してください。」 修学旅行の声にわっと楽しそうな声が教室中に溢れる。 ザワザワしだす生徒に長岡は小さく息を吐きながら出席簿を閉じた。 楽しみな気持ちは解る。 教師がいても親元を離れて友人達との旅行は、高校生なら魅力的だ。 それに、来年は受験一色になってしまうだろう。 「声もう少し小さくしてな。」 「はーい」 「うぃーす」 三条も田上吉田とにこやかに話しだす。 「このクラスで旅行とか絶対楽しいよなー。 遊びじゃないって解っててもわくんくすんな。」 「自由は制限されるけどな。 4日も長岡達と一緒だろ。」 そうか、正宗さんと旅行…って事にもなるのか 先生だけど、正宗さんだし… 「三条? 大丈夫か?」 「うん。 何が?」 「意識飛んでた? なんか、心ここにあらずって感じだった。 なぁ、吉田」 「考え事か?」 考え事と言えばそうだが、そこまで立派なものじゃない。 首否すると、なら良かったと会話が再開される。 要は考えようだ。 4日間、教師と生徒を徹底しなけらばならない。 だけど、何時もより長い時間、長岡先生と居られる。 例え会話出来なくとも姿を見ていられる。 嬉しいな

ともだちにシェアしよう!