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第569話
「んん…」
もぞ…と身体を動かすと妙にあたたかい。
良いにおいもする。
埋まっている布団から顔を出すと綺麗に整った恋人の顔が此方を向いていた。
そうだ
泊まったんだ
ぽふっと枕に頭を預け、その寝顔を眺める。
綺麗な顔
正宗さんの傍は安心する
確か頭をかくかくさせながらパーカーを着直した記憶がある…と言うか、ほとんど着せてもらったの方が合ってると思う様な状態だったが一応起きてはいた。
一言二言会話をした気もするが、眠くてどんな会話をしたかぼんやりとしか思い出せない。
「はると」
「あ、おはようございます」
「はよ。
何時…」
「えっと、もうすぐ7時になります。」
寝起きの掠れた声も好き。
ん、と短く答えると覆い被さってきた。
「正宗さん…?
え、待ってください…、学校、準備に行かないと…っ」
チリリと痛んだ肩に噛まれたのだと知る。
この関係になってから肩には噛み痕かキスマークが消えることはなく付けられていた。
薄くなれば再度付けられ、もう痕があるのが当たり前の気さえする。
愛おしい痕。
「ん、起きる。
あー、勿体ねぇ。」
そんなの俺だって思う
俺だって…
ベッドから降りようとする服を掴み静止を乞う。
どうした?と見下ろすその顔が恨めしい。
「俺だって、勿体ないです…」
すりっと額を背中に擦り付けると、愛しい体温に包まれた。
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