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第570話
一緒に朝ご飯を食べ、身支度を整える。
洗面台に並んで朝の仕度をするのははじめてではないのに、これから学校だと言うだけでドキドキしてしまうのは何故だろう。
隣で髪をセットする恋人はもう先生の姿をしている。
格好良い
でも、今日は学校なんだよな…
最後にネクタイを確認すると脱衣場を出る後ろに続いた。
「行くか。」
鞄を手に短い廊下を歩くと、どんどんと足が重くなっていく。
玄関ドアの前で立ち止まる脚。
このドアを出れば、教師と生徒になる。
少し、寂しい。
「遥登、こっち向いて。」
「なんですか?」
チュゥ
唇にあたたかいそれが触れ、大好きな人の顔が目の前にあった。
「気を付けて行ってこい。」
とびきり優しい恋人の顔で微笑まれ、キュンと胸がときめく。
顔には出してなかったはずなのに。
正宗さんは、俺の扱いが上手い
悔しい位上手い
「はい。
正宗さんも気を付けてください。」
やっと動いた脚で玄関を開け外へ出る。
玄関の外は秋晴れの空が広がっていた。
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